ー元治元年ー  京

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男、名を坂本龍馬直柔という 彼に宛てた手紙の中に「良馬」と書かれた物もある事から「りょうま」と読むのが正しいと思われる。 坂本家は元々、明智左馬助の血族であるという説もあるが定かでは無い しかし、彼の両親共に坂本の外から入って来ているので少なくとも龍馬は明智の血を受け継いでいない事は確かである。 「実はのぉ~お龍ぉ…」 お龍はクスリと一つ笑顔を見せ「何です」と答えた。 言い辛そうな事を話す時の龍馬は本当に子供の様である そこがまた愛おしくも感じるのだ。 「わしはまた勝先生の所に行かねばならんのんじゃ」 何か取り留めの無い不安が湧き上がってきた。 元来、勘の強い方ではあったが この頃四条界隈は会津の者達が絶えず目を張り巡らしていたため 龍馬を始め、大仏に出入りしていた人物は一寸来てはすぐ処を変えてしまわなければいけない始末であった
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