大戦の幕開け……

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    「皆揃ってどうしました? 何か騒がしいですが……」  蔵馬は、余りの騒がしさに心配になり自分の部屋から出てきた。 「あっ! 蔵馬…聞いてくれーそして俺を助けてくれ……」 「飛燕…どうしたのだ? 何か問題でも起きたのか?」  飛燕は、蔵馬を見付けると薄ら涙を浮かべ一目散に駆け寄る。  流石に、蔵馬も慌てて飛燕に何があったのか問い掛ける。 「蔵馬…俺…すっかり護衛隊長の件…忘れてた…どうしよう……」  飛燕は、蔵馬に護衛隊長の件をすっかり忘れていた事を話す。 「あぁ…護衛隊長の事か…私はもっと凄い問題でも起きたのかと……」  そう言うと、蔵馬は何事も無かったように、一人で歩いて行ってしまった。 「あっ! 蔵馬待ってくれ…俺の話を聞いてくれよ……」  飛燕は、蔵馬の後を追うように必死に走っていった。  飛燕の情けない姿を、龍騎と玄武は苦笑いで見送りその場を立ち去った。  暫らく城内を歩き、蔵馬が護衛の件で考え事をしていると、反対側から蔵馬を呼ぶ懐かしい声が聞こえてきた。 「おーいそこの…名前なんだっけ? こっちだー!」 「んっ? 彼は何処かで…確か…街の山賊!」  蔵馬が、声の主に気付くとゆっくりと蔵馬の元に歩み寄って来た。  声の主は、蔵馬と一騎打ちを繰り広げた元山賊の爽翔であった。 「おっ! 気付いたな久しぶりだな……」 「久しぶりですね…まさか又貴方に逢えるとは……」  蔵馬は、爽翔に再び出会えた事を素直に喜び、お互い笑顔で握手を交わした。 「あぁ…あの時は妹が世話になった…礼を言いたい有難う……」  爽翔は、妹と再会出来た事を蔵馬に報告すると深々と頭を下げる。
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