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「いえ…私は何も…それより妹さんは?」
蔵馬は、少し照れながらも妹沙耶の事を問い掛けた。
「おう! 相変わらず元気だぜ! 今度は俺等も一緒に戦うぜ…あの時の恩は必ず返す!」
爽翔は、恩を返す為に連合軍に参加した事を蔵馬に伝え力強く拳を握る。
「貴方の武勇…期待していますよ……」
蔵馬は、爽翔の連合参加に喜びながらも、何処か心の中で違和感を感じていた。
「んまー! 良い男発見!」
蔵馬の違和感は、物の見事に的中していた。
聞き覚えのあるその声に、蔵馬は恐る恐る声のする方に視線を向ける。
すると、ゴツイ体とイカつい顔を持った月鮫が、好みの連合兵士を追い掛け回していた。
「ハハッ…悪い奴は相変わらず何だよ…月も一緒に世話になるよ……」
月鮫の姿を観て、これから彼も一緒に戦うのかと思うと、軽く冷や汗を流す蔵馬であった。
「とっ…所で…一緒に居た奴は…此処に居るのか?」
爽翔は、話題を変えようと必死に月鮫の姿を隠し蔵馬に話掛ける。
「もしかして白虎殿か? 勿論此処に居るが……
それと…一つそなたに聞きたい事が……」
「んっ? 何だ…何でも聞いてくれ……」
蔵馬に問われ、爽翔は笑顔で答える。
「二人とも同じ軍隊ですか? 指導されている将軍は誰ですか?」
蔵馬は、爽翔の所属している部隊と将軍を思わず聞いてしまった。
爽翔は、始め少し不思議そうにしていたが、暫らく考え思い出すと蔵馬に答えた。
「おぉー確か…玄武って言ってたかな?
月は…その白虎って人だ…月が喜んでたよ……」
「ハハッ…白虎殿大変そうだ……
それと私は蔵馬と申す…まだ名を明かしてなかったな……」
蔵馬は、爽翔が自分の部隊に居なかった事に少し肩を落とし、自分の名を爽翔に明かした。
「蔵馬か…俺は爽翔だ…宜しくな……
本当に同じ部隊だったら良かったな…んじゃ…俺はこれで……」
爽翔も、蔵馬と違う部隊に肩を落とすが、どうする事も出来ずそのまま蔵馬と別れた。
爽翔と別れ、ふと後ろを振り向くと飛燕が柱の影からこっそり覗いていた。
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