大戦の幕開け……

19/22
前へ
/486ページ
次へ
    「始めましょう…龍騎殿……」 「あぁ…やっぱりこの緊張感…やばいね……」  お互い、武器を構えてから一歩も動けずに、時だけが静かに流れていた。  お互い神経を集中して、一点のみ見つめる。  少しの油断が敗北に繋がる。  それが今の二人の実力である。 「……フゥー……」  龍弌は、自らの心を落ち着かせる為に深く呼吸をする。  まるで、自らの気配すら消す勢いである。  相手の気配を読み、少しの動きも見逃さないまさに達人の領域。 「クッ! 隙がまったく無い…奴は化け物か?  この間は…本気じゃ無かったって事か…それなら……」  龍騎は、深く息を吸い込み両手の木刀を強く握り締める。 「ハァー!」  龍騎は、素早い動きで龍弌との間合いを一気に詰める。  その時に、二本の木刀はしっかり繋がっていた。 「フッ!」  それに合わせ、龍弌も冷静に迎撃態勢に入る。 「ヤァー!」 「ハァー!」  カッ! カカッ! コッ! ガン! ゴッ! ゴキッ!  両者の木刀が、何回もぶつかる度に乾いた音から鈍い音に変わり始める。  両者共、手加減は全くと言って無い。
/486ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1097人が本棚に入れています
本棚に追加