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「始めましょう…龍騎殿……」
「あぁ…やっぱりこの緊張感…やばいね……」
お互い、武器を構えてから一歩も動けずに、時だけが静かに流れていた。
お互い神経を集中して、一点のみ見つめる。
少しの油断が敗北に繋がる。
それが今の二人の実力である。
「……フゥー……」
龍弌は、自らの心を落ち着かせる為に深く呼吸をする。
まるで、自らの気配すら消す勢いである。
相手の気配を読み、少しの動きも見逃さないまさに達人の領域。
「クッ! 隙がまったく無い…奴は化け物か?
この間は…本気じゃ無かったって事か…それなら……」
龍騎は、深く息を吸い込み両手の木刀を強く握り締める。
「ハァー!」
龍騎は、素早い動きで龍弌との間合いを一気に詰める。
その時に、二本の木刀はしっかり繋がっていた。
「フッ!」
それに合わせ、龍弌も冷静に迎撃態勢に入る。
「ヤァー!」
「ハァー!」
カッ! カカッ! コッ! ガン! ゴッ! ゴキッ!
両者の木刀が、何回もぶつかる度に乾いた音から鈍い音に変わり始める。
両者共、手加減は全くと言って無い。
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