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「それは…どう言う意味ですか? 龍騎殿……」
まさか、先程の事を聞かれるとは思わず、龍弌も少し困惑しながら龍騎に返す。
「んっ…オマエがあんな意見を言うなんて…少し珍しいと思ってな……」
龍弌の返答に、龍騎は澄み切った空を眺め龍弌を気遣う。
すると、龍弌は少し考え龍騎だけに訳を話し始めた。
「……前に龍騎殿には…自分の家族の話しをした事は覚えていますか?」
「あぁ…覚えてる…確か…小さい時に拾われたんだよな……」
龍弌が、話し始めると寝転んでいた龍騎も起き上がり真剣に聞き入る。
「えぇ…父上は帝国に…母上は病気で失いました……」
「でも…確か兄貴が居たよな?」
「えぇ…自分を…本当の弟ように可愛がってくれた…兄上が居ます……」
龍騎は、家族の話をしている龍弌の表情を観ている事が出来なかった。
そして龍弌は、龍騎の気持ちを考慮しながら続きを話す。
「自分は…兄上に内緒で家を出てきました……
そして…各地を巡り仲間を集め…絶影団を作りました……
全て…父上の仇を獲るために……」
龍弌は、今迄の経緯を龍騎に話す度に、唇を噛み拳を強く握り締める。
「そして…兄上が…志願兵の中に居たんです!」
龍弌の言葉に、龍騎は驚きながらも黙って聞き入るしか無かった。
「自分でも…驚いてます…しかも自分と同じ部隊なのです……」
「それなら…問題無いじゃん! 兄貴と一緒に戦えよ……」
「えぇ…出来れば…自分も兄上と戦いたい……」
龍弌は、兄項禅と戦いたい事を龍騎に打ち明ける。
その気持ちを感じて、龍騎は一つの答えを導きだした。
「なるほど…兄上が他の奴に獲られないか心配で…朱雀に聞いたんだな……」
龍騎の言葉に、龍弌は全てを見透かされたように、何も語らず俯いてしまう。
すると、俯く龍弌に龍騎は背中を強く叩き笑顔で話掛ける。
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