~Prolog~

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人とは儚く、脆く、そして悲しいほどに愚かだった。 私の記憶に縋るあまり、滅びをむかえ。 滅びずとも、"私に近き己"とその同胞等を生け贄に捧げる。 私は、憂いた。 どうするば、終焉を避けることができるのか…。 どうすれば、"私に近き己"を救うことができるのか…。 ふと、ある気配に気付く。 それは強く優しく、まるで暖かな陽光のようだった。 それが世界を隔てる狭間にいた。 この者ならば…! 私は、その陽光のいる狭間に手を伸ばす。 滅びは望まぬ。 半身達の犠牲もいらぬ。 どうか。 どうか。 手に落ちた陽光に、我が思いを託す。
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