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~誘い~
正面に見える光に向かって、一護は走っていた。鮮やかな橙の短髪が、自ら起こした風になびく。
ここは生ある者が暮らす"現世"と、死した者か向かう常世ー"尺魂界"の狭間。"断界"と呼ばれる場所だと一護は教えられている。
ひょんな事から死神代行となった一護には週に一回、現世で昇華した虚ーホロウと読み、所謂悪霊のことであるーの数などを報告する義務があり、ここを通り"尺魂界"へと赴いている。
「慣れたとはいえハードだよなぁ。
やっぱ、地獄蝶が見つかるまで待ちゃよかったか…?」
誰に聞かせるわけでもなくそう呟き、溜息をつく。その間も駆ける足を休める事はない。
そもそも断界は、地獄蝶無しに渡るには危険すぎる場所だ。
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