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世界の狭間である断界は、拘流という特殊な気流で満たされている。
この気流ーといっても、視覚的には壁がドロドロと流れ落ち、凄まじい速さで迫って来るように見えるーには、外敵の進入を防ぐため霊体を絡めとる働きがある。
万が一、此に捕まれば永遠に世界の狭間をさまよう事になる。
ここを安全に通過するために、一護も専用の地獄蝶と言われるクロアゲハに似た昆虫を支給されているのだが、此を管理してくれている者が扱いに慣れていなかっようで、一護が現世に帰る直前に逃がしてしまったのだ。
(理吉やつ、だいじょぶか?)
地獄蝶の世話をしてかなりになると聞いたが、毎度おなじような失敗をする彼が少し心配になってくる。
彼の上司は自分にも、部下にも厳しい人物だ。
一護の脳裏に、その怜悧で美しい貌が浮かぶ。
惹かれていたのは何時からだろう…?
彼に対する淡い想いが、いつからから一護の胸にくすぶっていた。
(迷惑…だよな…)
明るい薄茶の瞳に陰がさす。
一護は自分の存在が尺魂界にとって、どれだけ異質なものか熟知していた。
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