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一護はもやもやとした想いを振り切るように走る速度を上げた。
その速さはもはや、瞬歩ー死神特有の高速歩行術の速度に近い。この速さで行けば、後数秒もしない内に断界を抜けることができるはずだった。
「……っ!?」
いきなり一護のやや前方の断界の壁が不自然に膨らみ、火山が噴火するようにはぜた。
襲い来る凄まじい爆風を背に背負った巨大な出刃包丁のような大刀ー斬ぱく刀、斬月を盾にすることで耐える。
「ーっ、んだよ……あれ…?」
吹き荒れた爆風と、舞い上がった埃の先に視線を向けた一護は、呆然と呟いた。ぽっかりと空いた断界の穴の中、遙か先の虚空から、揺らめく焔に似た金色色の光が溢れだしてきている。
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