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「助け……なんだよ?助けてとでも言う気か?」
そう言いながら強く後ろの壁を蹴り付ければ鬼は大きく体を震わした。
「…なワケねぇよなぁ?テメェ……自分が鬼だからって俺に殺されないとでも思ってんじゃねぇだろうなぁ?」
恐怖で声も出ない状態なのだろう、鬼はただ震えるばかりで「ごめんなさい」と謝るばかり。
そして、その様子を見ていた七観でさえ背筋には悪寒が走る。
誠治が不良だというのは知っていたし怖いとも思えるオーラがあるというのも分かっていた。
しかし───これはそんなレベルじゃない。
自分に向けられているワケではないのに「怖い」なんて言葉じゃ表せられない程の恐怖を感じる。
「……まぁいいか」
その言葉に一縷の望みを抱き、鬼が恐る恐る顔を上げると誠治はただ笑っていた。
「───もう、死ねよ」
「ひっ……!!」
誠治は小さく呟いて高々と拳を振り上げる。そして、その拳を振り下ろそうとした瞬間───
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