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「…僕も出来るならそうした方が良いと思うよ。けど、病院には色々な物があるからね…逆に危ないと思うんだ」
「危ない物って…」
「それこそ色々だよ。注射器を使って酸素を血管内に送り込めばそれだけで死ねるし、劇薬もあるしニトログリセリンなんて物もある」
「ニトロっ…!?あれって爆発するんだろ!?」
一樹が驚きの声を上げれば七観は小さく頷きそのまま言葉を続けた。
「ニトログリセリンは心臓病の人に使うんだ。だから厳重に保管されてるけど病院にはあるんだよ」
「…くそっ……どっか大和を隠せる様な場所はねぇのかよっ……!」
苛立ちながら声を絞り出し、横にあった壁を殴りつける。
すると不意にポケットに入れた携帯が震えだし、一樹は携帯を開いた。
「メール?」
メールを開き、内容を見るとそこに書かれていたのは驚くべき内容。
「…マジかよ……」
「どうしたの?」
七観が訊ねると一樹はぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。
「……もう…この辺りに逃げる側は居ない……」
「え?」
「都内に残ってる逃げる側は……俺たちだけだ……」
一樹の言葉に七観は驚き、無意識に啓太たちの方を見ればそこには携帯を持ったまま微塵も動こうとしない二人の姿。
恐らく二人も今届いたメールを見たのだろう。
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