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「ココにいたら狙われるね…どこか別の県に移動しよう」
「つっても何処に…」
「……だったら埼玉辺りで良いんじゃねーの。あそこの真ん中ら辺はすげぇ田舎だからな」
ふと横を見ればそこにはいつの間に隣りに居たのだろう誠治の姿が見える。
誠治は二人の近くに来ると出来るだけ体を動かさない様に大和を背負った。
「鬼は……?」
一樹の言葉に誠治は静かに後ろを指差した。
見るとそこには泣いている鬼の姿と、それを慰める様にその横で座り込んでいる啓太の姿が見えた。
「おまっ!啓太を鬼の傍に置いて…!」
「大丈夫だろ。一応脅しといたし」
あっさりとそう言えば一樹はそれでも心配は残るがあの様子では問題なさそうだろう。
一樹は啓太の方を振り向くと大声で啓太を呼んだ。
「啓太、行くぞ!」
「あ、うん!…ごめんね、僕たちもう行かなきゃ」
そう言って啓太は立ち上がると鬼は最期に一言、「ごめんなさい」と小さく謝る。
「…悪いのは……君じゃないんだから」
啓太が静かに言えば鬼は更に涙を溢し、思わず足を止めるが再び名前を呼ばれ啓太は心配そうに鬼を見ながらその場から去っていった。
「お前、何話してたんだよ?」
少し早足で駅へと向かう五人。
一刻も早く都内から逃げようと必至なのだ。
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