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俺は小さなネズミ
光のない世界の住人
あの日上を見なければ
ずっとそこにいただろう
丸く切り取られた空が
小さな瞳に眩しく見えて
好奇心が僅かに芽生えて
ボスにあれは何?と聞いた
ボスは言った
あれは俺らの場所じゃないと
行きたくても行くなと言われた
でも欲しかった
あの丸い空が
だからずっと上を見て過ごした
けど丸い空はあの日から
姿を消してしまった
それからいくつか年が過ぎた
俺はまだ上を見ていた
そんな俺を仲間達は
気が狂ったと思っていた
いつしか仲間達とはぐれ
ただ一人上を見ていた
あの空が欲しい
願いは一つだった
さらに年が過ぎもう目が見えなくなった事も気付かないまま俺はあの丸い空を手にする事もなく自らの死が近い事を知った。手を伸ばせば届いたかな?最後に思ったのはそれだけだった…
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