芽生

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気付いたときには屋敷に着いていた。 息を整え心を落ち着かせ、門をくぐる。 部屋に着くと犬麿が迎えてくれた。出掛けた後にもずっと居たのか? 「おや、お早いお帰りで。」 「そうか?」 「ええ。……体調でも崩したんですか?」 何故そうなる。 「当てずっぽうにも程があるぞ」 「違うんですか?だってほら…」 渡された手鏡で己の顔を見る。 「そんな紅い顔して何もなかった、ってのは無理がありますよ。」 ……よりによって、一番面倒な病にかかったようだ。 ―了―
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