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彼は今日も普通に授業を受け、普通に終えて、普通に下校していた。
「あぁ~。今日も普通だったな」
そう言いながら太郎は歩道橋の上を歩いていた。
すると、
ピピピピッ
太郎のケータイがなった。着信音は初期設定から変えていない。なんとも普通だ。
太郎は歩きながらケータイを開くと、メールを見た。その直後、
ドンッ!
誰かと肩がぶつかった。そう、不良だ。なんともベタな展開である。
「あっ、すっ、すいません!」
「すいませんじゃねーだろテメェ何処見て歩いてんだコラァ!」
太郎は不良に胸ぐらを掴まれてグイッと引っ張られた。
するとその拍子に、太郎は持っていたケータイを歩道橋の下に落としてしまった。
ガシャン!
「ハッ!ケータイ落としてやんの。ザマァみやがれ」
不良は太郎のケータイが壊れたことで満足したのか、太郎から手を離し去っていった。
太郎は潰れたケータイを拾い呟いた。
「3年も使いこんでたケータイなのに。ついてないなぁ」
太郎は少し悲しい顔をしながら家路についた。
この僅かな変化がのちの大きな変化になるとは夢にも思わずに………。
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