ある朝

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朝起きたら、私は17歳になっていた。体は細く、髪は長く真っ直ぐで、真っ黒の艶々した髪。さらに鏡を見て驚いた事は、まさしく17歳の時の顔だった事だ。驚きよりも喜びの方が勝った。体にも力がみなぎっている。肌も白く艶々してシミひとつ、そばかすひとつ無い。 私は髪にブラシをかけ、洋服タンスの中から、バーバリーの白地に黒のストライプが斜めに入った、お気に入りのワンピースを取出し着てみた。昨日まで着られなくなっていたサイズの服が、余裕で着る事が出来て、17歳の少女をよりいっそう清楚で気品溢れる雰囲気にした。小さな黒のクロコダイルの肩押しのバッグ、バッグに合わせた黒のヒールの靴を履いて、私は外に飛び出した。外は夏の始め、暖かい、日差しのまだ柔らかい穏やかな日だった。
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