渋谷の夜

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渋谷の街をブラブラし、デパート巡り等をしているうちに、段々と外は暗くなり、道玄坂にあるホテルに泊まる事にした。 昔、一人になりたくて、このホテルに泊まった事がある。大したホテルではなかったが、当時の私には、とても贅沢なホテルに感じた。狭く、何の特徴も無い部屋。あの当時と同じように、窓から外を眺めて過ごした。ホテルの隣のビルの灯りで、ビルの中の様子が良く見えるのだ。ある窓からは机に座って何かを書いている男性。背を後ろに仰け反らせて休んだりしている。ある窓では、三人の男女が立ったまま何かを話し笑いあっている。何の話をしているんだろう。仕事の話?世間話?楽しそうだ。こんな良い場所にあるビルの中で働けるなんて、幸せな人達だ。そのうち、沢山のカップル達が駅の方に向かって歩いて行く。終電の時間が迫っているのだ。腕を組んで幸せそうに歩いて行くカップル達。私も当時、ボーイフレンドと腕を組んで、この道を歩いた事がある。私は、あの頃は淡いピンクの服を良く着ていた。 でも年を重ねるうちに、ピンクが似合わなくなってきた。顔がくすんで見えるようになったからだ。ある年からはブルーが私の服の基本カラーになった。ブルーが私の顔色を引き立たせてくれるのに気付いたからだ。そんな事を思い出しながら、昼間デパ地下で買ったお惣菜とワインを飲み、お風呂に入って眠りについた。
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