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放課後――
今日は部活がないから直哉と一緒に帰ることになった
俺は直哉のこと…全然知らない
なぜ直哉は今の直哉をつくったのか
良く考えれば直哉の家族のことも知らない
知らなくてもいいんだけど…
そういやいつも昼食がパンなのも気になる
「お前…一人暮らしだっけ?」
「ん?…まぁ一応」
一応?
「ふーん……じゃあ…兄弟とかいたっけ?」
この質問がいけなかったのか直哉はピタリと止まった
「直哉…?」
「…………いたよ」
「…っ」
いつもの声より低い声
一瞬だけ直哉が恐ろしく見えた
「い…いた……?」
「いたよ…妹が」
「そうか……ごめ…ん」
俺は直哉から目をそらした
見ていたくなかった
俺の知らない恐ろしい直哉を
「今日の海音さぁ…いっぱい質問してくるよな…そんなに俺のこと知りたい?本当…かわいいよなぁ海音」
こんなの直哉じゃない
これは…もう一人の直哉……?
「あれ?今はかわいいとか言われても怒んないの?」
「…直哉はなんで逃げたんだ」
「…はあ?」
「なんでもう一人の人格をつくるほど世界から逃げたんだ…!!」
「っ!!!」
今の直哉は裏の直哉
裏の直哉に聞けばわかると思った
「……なんだ…そうか」
「…?」
「…気付いちゃった?今の俺に」
「……ああ」
「隠してても俺には関係ないからいいけどさぁ…俺をみたからって、もう一人の俺を避けたりなんかしちゃだめだよ」
「そんなことしない」
「本当かなぁ…?今の俺には海音でも信じられないからさぁ」
「しない…!お前を避けることなんて絶対しない!するはずないだろ!?」
「……ならいいんだけどさぁ……」
そういって直哉はまた歩きだした
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