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「今の俺が逃げちゃったわけはさぁ…大好きな人達が死んじゃったことかなぁ」
「…っ…」
「ちゃんと聞いてよ?海音には俺のことちゃーんと教えてやるから…」
顔が近付いてくる
周りをみてみたが人がいない
なんでこうゆうときにいないんだっ!?
いつも帰るときは近所のおばちゃんや猫とか見掛けるのに…
「愛した人達と会えなくなる辛さが海音にわかる……?小学生のとき玄関まで見送って出ていく人達を信じて待ってた…でも帰って来なかった。中学のときもだ。大丈夫だって信じて信じて…でもまた帰って来なかった…皆死んだんだよ!俺を一人にして…っ!!逝ってしまった!!!」
ガッ
直哉の右手が俺の首を掴んだ
「ぐっ…ぁ!?」
「俺は最後に…もう一人をつくるまえにやることちゃーんとやって何も知らない俺をつくりだした……何も知らなくていい…生きたい俺をつくったんだよ」
「…やっ…め…」
首を締める力が強まる
「海音…死にたい俺は何を求めてるかわかる?わっかんないよねぇ海音はさぁ!」
苦しい
目の前がチカチカする
だが直哉が手をはなし酸素が求められない苦しみから解放された
「おっと…海音が死んじゃったらまた俺、狂っちゃうなぁ…危ない危ない」
「はっ……直哉…お前…」
「あれ…束野くん?」
「か、奏太く…っ!?」
振り向いたら奏太がいた
フラッ…
「!?…直哉!!」
直哉が倒れてきた
寝息が聞こえる…
うわっコイツ寝てやがる……
もう一人の直哉がもどったのか…?
「束野くん大丈夫か?首……」
「えっ…首…」
「痣が」
締められていたところに触れた
痣が出来たのか…困ったな…
「それよりさ…こいつ家まで送るの手伝ってくれないか?」
「…わかった」
起こせばいいのだが今はこいつをゆっくり休ませてやりたい
くそ…重い
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