0人が本棚に入れています
本棚に追加
『心、バイバ~イ』
「うん。バイバ~イ」
夜6時を過ぎてようやく終わった部活の片付けを終えた部活の仲間達はゾロゾロと帰っていく。
心は帰っていく仲間達を見送ると一人、みんなが帰っていく方向とは別の方に向かって歩いていく。
「あ~ぁ、私も皆と同じ方向だったら一緒に帰れるのになぁ・・」
チラチラと白い雪の降る黒い空を見上げながら心は呟いた。
「おい!心!」
後ろの方で誰かの声がした。
「ん?」
振り返ればそこには幼なじみの順平(じゅんぺい)がいた。
「なぁ~んだ。順平かっ」
「なんだとはなんだ!この美男子がお前のコトを呼んでやってるのに・・」
「へぇーへぇー」
順平の話しを最後まで聞かないまま心はスタスタと自分の帰る方向に向かって歩いていく。
「えっ!?・・・ちょ、ちょっと待ってよ。一緒に帰ろうぜ~~」
「ヤダ。」
スタスタ
「え・・・」
「順平うるさいんだもん。」
スタスタ
「そっそんなぁ~~いいじゃんかぁ。幼なじみの縁ってやつでさ。」
「じゃあ今日から切ろう。」
「えっ!!?」
そんなやり取り(順平の一方にだが・・)をしながら歩いている間に、いつも通り過ぎるコンビニの前に来た。
「あっ!俺買いたいもんあったんだ!心・・・」
いきなり真剣な顔をして心の顔を見つめると、
「なっ、何?」
「淋しいとは思うがここでしばしの別れだ。心、お前は達者で暮らすんだぞ。」
ゲシッ!!!
「がっ・・・」
心の蹴りが順平の右足のスネにヒットしたのだ。
順平は痛さでもはや声にならない声を上げながら地面にうずくまっている。
「あ~ほ」
そんな順平を尻目にスタスタと心は歩いていった。
ちなみに心の部活とは陸上部だ。そんな人間に蹴られた痛みなど、あぁ・・想像もしたくない・・・
最初のコメントを投稿しよう!