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僕は、都内の私立高校に通う、ごく普通の高校二年生。名前は真田一輝。僕の毎日は、朝は電車の中で押し潰されながら学校へ行き、帰ったら家の近くのコンビニで夜遅くまでバイト。休みの日は、友達とぷらぷら街を徘徊したり、家でテレビやマンガを見たり読んだり、一日中バイトをしたりする。今の高校生だったら誰でもしてるような事をして、毎日平凡に過ごしている。唯一僕だけ仲間外れなのは、「恋愛」だろうか。彼女なんて、今まで一度も出来たことがない。ましてや、誰かに恋愛感情を抱いた事だって一度もない―――。
「一輝、お前まだ彼女とか作らないのか?」
学校の昼休み、いつも通り仲の良いメンバーで弁当を食べてたら、向かい側に座ってる親友の市原裕也が話し掛けてきた。
「作るも何も、毎日が充実してればそれで良いじゃないか。彼女がいるかいないかで、何かが変わる訳じゃないし。」
僕がそう答えると、その場にいた友達は全員しかめた面をした。
「今時一輝みたいな純粋で頑固なヤツ、そうそういないな!」
「うん。大抵みんな一回は彼女作ってるのに、一輝なんかゼロだもんな!」
「待て、裕也もゼロだぜ!」
「裕也は恋愛経験あるけど、一輝はゼロだろ?どっちにしろ、今時珍しいって!」
みんな口をそろえて語っている。そんな中、裕也は身を乗り出していきなり手を上げた。
「はいはい!俺昨日やっと彼女出来ました!」
「マジで!?」
みんな驚きと共に、裕也を祝うかのように肩を組んだり、声をかけたりしている。
「誰だれ?どんな子?」
クラス一彼女がいた人数が多いであろう、大沢拓巳が問う。
「へへーん、隣のクラスの木下咲季ちゃん!」
「おぉ!」
それは、最近男子の中で人気のある女の子だった。
「よし!裕也にも彼女が出来たことだし、一輝も少しは頑張れよな!」
「え…?う…うん。」
僕は弁当を食べ終わり、とりあえずその場を離れた。
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