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此処は不思議な図書館・斎堂。
個人経営の図書館である此処は人通りも殆んどない裏路地に人知れず佇んでいた。勿論人の出入りなど全くと言って良いほどに無い。
図書館には常に司書が居るもので、斎堂も例に違わず司書が居た。
まぁ、此処の司書は本の管理人と言っても普通とは違う形で本を管理為ている。常識では考えられないだろうが、本は生きている。比喩ではなく事実の話だ。
此処の司書は本の乱れた時間を正し、乱れぬ様に管理するのが仕事。
『本の乱れた時間』とは則ち本の登場人物が消えると言うもの。管理人はその消えた人物に変わり本を治める。そして治めたらその時の記憶は忘れる。
管理人は本を書き換えてはならない。彼は本を正す為だけに居る存在。
だから彼に感情があってはならない。感情は物語を捻じ曲げてしまうから。だから司書は物語の完成だけの為に己を消す。
本の為に生き、本の為に在る。
それが斎堂を継いだ司書の代々の役目。
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