これは夢か現実か

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「お探しの生徒手帳なら、俺が持ってるけど?」  やけにあたふたしている。こっちを振り向こうとはしない。 「返してほしくないんだ?」 「違います」  はっきりとした声。やっぱり、聞いたことがある。しっかりと耳に残る、この声を。 「なんで、こっち見ないの?」  狼狽えた様子で、はっきりしない声が聞こえる。  焦れったくて、俺は肩を掴んだ。 「早く、こっち向けよ」  無理矢理向けた顔を見て、息を呑んだ。澄んだ蒼い瞳。藍色の髪。  もしかして、いや、でもこんなところに? 「BLUE?」  近くで見たことがなければ、自信が持てなかった。でも、あの印象深い目の光は忘れられるはずがない。
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