序文

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まぁ、丘に寝そべってるって言ってるけどさ、実際のところは、俺が「丘」って勝手に呼んでるコアヌイ・バックパッカーズ敷地内にある木製のベンチに寝そべってるんだけども、そんな細いことはどうでもいいんだ。 目を閉じてさ、想像してごらん。ここは丘の上なんだ。センチメンタルな夜風が心地良い丘の上。 そこがベンチでもアスファルトでも…丘の上を想像してごらんよ。 …ほらね、丘の上だよ。…ね? 君だってコンクリートだらけの世界でさ、信号機だらけの毎日でさ、無機質な音が飛び交う流れの中でさ、そんな毎日に疲れちまったら想像してみるんだ 君の一番落ち着ける景色をね。少し排気ガス臭くっても構わないからさ、深呼吸してみなよ。そして想像力のカプセルを破裂させるのさ。そしたら、いつもの景色がちょっぴり素敵に見えるよ。今度試してごらんよ。俺は上手くできるんだけどな…。
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