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キーンコーンカーンコーン。
――学校のチャイムが鳴り、担任であるすだれ頭の中年男性が教室に入ってくる。
「……きり~つ、れい。」
日直の女子高生のやる気がない号令がかかる。
「林さん~新学期になった訳だし、もっと気合い入れて言って下さいよ。」
すだれ頭の担任が、いつものように髪をちょいちょいと整えながら口をつぼめて言った。
「はいはい。てか、ぐっちゃん。どうせ髪ないんだし、整えたって意味なくね?」
林さんと呼ばれた女子高生は、金髪のパーマがかった髪をくるくる指に絡ませながら言った。
その言葉に教室中がどっと笑いに包まれた。
「はっし~新学期も毒舌すごくない?」
絵理菜が、後ろの席にいる架涙の方を向いてぼそっとささやいた。
「う、うん。でも、ぐっちゃん……ちょっと可愛いそうだね。」
架涙は遠慮がちにぼそっと呟いた。
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