今だから言える…

先輩

そんな先輩に映画に誘われた事がある。

前にサークルで話題になった映画で、私もずっと見たかったやつだった。
他にもメンバーを探したけれど、みんな予定が合わず…。

結局二人で行くことになった。

学校で待ち合わせて、先輩の車で映画館へ…

チケットをとって、お昼を食べて、少しゲーセンで暇つぶし。

なんだかデートみたいだ…

そんな事を思ってたら、先輩も

「なんだかデートみたいだね」

だって。

二人して笑った。

無事映画を見終わったら、少し寄り道をして帰る事に。

近くの公園で学校の事、サークルの事、色々話した。

そんな時、

「あんまり無理すんなよ!!お前はすぐムチャをするから…」

彼に言われた。

「なんの事ですかぁ？」

私は笑顔でかえす。

「無理し過ぎるなって言ってるの!!」

私には彼が何を言ってるのかわからなかった。

いゃ、わかってた。
思いあたる節はあるのに、わからないフリをしたのだ。

「なんの事だかよくわからないけど、私無理なんてしてませんよ!!」

また笑顔でかえす。

「なら良いけどさ。」

彼も笑顔でかえし、私の頭を荒くクシャクシャと撫でた。
そしてそのまま立ち上がり、車へと移動した。

私はなんだか胸騒ぎがするような感覚を覚えたまま、車にのった。

何を強がっているように見えたのか。
何か感づかれたのだろうか。

答えは見えない。

そのまま車は無言のまま走り出し、私の部屋の前で止まった。

「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです。」

「おぅ、俺も楽しかった!!早く寝ろよ!!おやすみ。」

「おやすみなさぁい」

私がドアを閉めると、車と彼は去って行った。