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少し歩くとキラキラと水しぶきを上げる噴水があった。
水面には、桜が映りまるでピンクの水の噴水の様に見える。
「……きりぇい」
目を輝かせて水面を覗く葵。
その時強い風が吹き、緩んでいた葵のリボンを噴水の中へさらっていった。
「――あっ!」
取りに入ろうかと思った葵だが、無情にもリボンは取りに入ると頭から水をかぶるであろう場所を行ったり来たりしている。
下手したら溺れてしまう。
葵は、噴水の縁に手をかけじっとリボンを目で追っている。
大好きな母からのプレゼント。
みるみるうちに葵の視界は、霞んでいった。
その時、葵の背後から優しい声が聞こえた。
「どうしたの?」
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