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その愛らしさに抱きしめてしまいたくなったが、なんとか堪え顔に笑みを浮かべる。
「しっかりした姫だね。俺は“藤原 涼
”今日入園した“藤原 拓海”って子のお兄ちゃんだよ。以後 お見知りおきを」
涼も満面の笑みで言った。
「――で、どうして葵姫は泣いていたのかな?」
涼の言葉に再び瞳が揺らぐ葵。
「……お母しゃまに……もらったリボンが…………」
葵はそう言うと噴水の方に視線をやった。
その視線を涼がたどると、噴水の中をゆらゆら漂っている真っ赤なリボンが見えた。
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