おじいちゃん

1/7
2558人が本棚に入れています
本棚に追加
/261ページ

おじいちゃん

すっと車が止まって、待っていた人がドアを開けてくれた。 『ご苦労様です!』 なんかさっきも運転手の人が同じセリフ言ってたな。 なんか、やくざの映画みたいだな‥。 牧さんが、『御隠居は?』とその人に聞いた。 『お待ちでございます』 『わかった。先に行って、さくらさんが来られたことをお伝えしろ』 『はっ。』 頭を下げてその人は中に入っていった。 なんか、牧さんは随分、立場がある人みたいだな‥。 おじいちゃんの家は想像してたより、すごく大きかった。 純和風の木の香りのしそうな、お屋敷という感じだ。 こんなに立派な家になんて入ったことないや。本当にあの、お母さんの家なのかな。 あたしの記憶の中のお母さんは、お嬢様という感じが全くない。 どちらかというと、下町の人って感じ。記憶のお母さんとこのお屋敷はどう考えても、合わない。 やっぱり間違いだったんじゃないかな。 そんなことを考えながら、お屋敷を見上げていた。 『‥さん?‥‥さん?さくらさん?』 なんども呼ばれているのに気付かなかった‥。 牧さんが困った顔をしていた。 『は、はい?ごめんなさい、なんか圧倒されて‥。』 『大丈夫ですよ。さぁ、こちらにどうぞ。』
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!