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おじいちゃん
すっと車が止まって、待っていた人がドアを開けてくれた。
『ご苦労様です!』
なんかさっきも運転手の人が同じセリフ言ってたな。
なんか、やくざの映画みたいだな‥。
牧さんが、『御隠居は?』とその人に聞いた。
『お待ちでございます』
『わかった。先に行って、さくらさんが来られたことをお伝えしろ』
『はっ。』
頭を下げてその人は中に入っていった。
なんか、牧さんは随分、立場がある人みたいだな‥。
おじいちゃんの家は想像してたより、すごく大きかった。
純和風の木の香りのしそうな、お屋敷という感じだ。
こんなに立派な家になんて入ったことないや。本当にあの、お母さんの家なのかな。
あたしの記憶の中のお母さんは、お嬢様という感じが全くない。
どちらかというと、下町の人って感じ。記憶のお母さんとこのお屋敷はどう考えても、合わない。
やっぱり間違いだったんじゃないかな。
そんなことを考えながら、お屋敷を見上げていた。
『‥さん?‥‥さん?さくらさん?』
なんども呼ばれているのに気付かなかった‥。
牧さんが困った顔をしていた。
『は、はい?ごめんなさい、なんか圧倒されて‥。』
『大丈夫ですよ。さぁ、こちらにどうぞ。』
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