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ザワザワ...
集会が終えると、クラス毎にダラダラと教室に戻る光景があった。
あたしと優花と宇田川くんは混雑する渡り廊下を避けて、少し遠回りになる昇降口の方から戻っていた。
「坂内が行方不明?」
優花が宇田川くんに聞き返していた。
「うちの兄貴刑事じゃん。そのつてで耳に入ったみたいだけど……、もう1週間位になるって。」
「……………」
「どっかで遊んでんじゃないのかなぁ?」
優花と宇田川くんの会話をあたしはボーッと聞き流す。
さっきの光景が気になっていた。
でも
『坂内を見た気がする』
そんなことなんとなく言えなかった。
言え………
え?
えっ!?
昇降口から見える裏門の大きな木。
その隣に………
隣……
「坂…内………?」
「え?菜南?」
見間違い………じゃ、ない!!
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