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朝食のパンを無理矢理口に押し込んで、玄関を飛び出す。
〈うわぁっ!寒ッッ!〉
ドアを開けた瞬間、冬の早朝の冷たい空気を、顔に感じた。
「ちょっ、菜南っ!!気を付けてねーッッ!」
自転車に乗り、走り出したあたしは、聞こえた母の声に答えなかった。
いや、答えられなかった。
口の中は、パンでいっぱい。
そんな、いつもの朝の風景。
この後、
この『いつもの風景』は
一変する。
この時のあたしは、まだ何も知らなかった。
当然だけど。
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