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タタタタッ…
軽快な足取りで邸内の裏庭庭を走っている女の子がいた。
マロンブラウンのふわふわの髪をたなびかせながら走り、頬を紅潮させ、薄いピンクのワンピースの裾を翻しながら目の前を駆けている猫を追っている。
「アダム待ってよ~!!」
この女の子こそ、この家の娘・優花(16歳)である。マロンブラウンの緩やかなカールのかかったふわふわの胸までかかる髪に、クリッとした大きな瞳で可愛らしく、肌は白く陶器のようだった。
「捕まえた!!」
優花は自分の飼っている猫のアダムを捕まえ、抱きかかえてギュウッと抱きしめた。もちろん、アダムが苦しそうにミ゙ャッと鳴いたのは言うまでもない。
優花はアダムを抱き締めたまま笑みを浮かべて、アダムに頬擦りをしていた。
「優花様!!このような所にいらっしゃったのですか!!」
メイドの1人優花を発見し、大声で言った。優花はバッとそちらを向くと、顔が硬直した。
「あ゛…見つかった。」
「今の言葉は聞かなかったことに致します。アダムをお探しでしたのですか?ならば、私達が探しましたのに…橘様がお探しですよ。早くお部屋にお戻り下さいませ。」
「ちっ…折角橘から逃げたのに。」
優花はメイドの言葉に小さくツッコミを入れたが、メイドはそれを聞き取れたらしいく困りきった様子だった。
「お嬢様…橘様が聞いたら…」
「私が何ですか?」
メイドの後ろから、声が聞こえたが少し低めだった。
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