運命

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ショットバーのスタッフである直樹は、カウンターに座るお客さんと話す。 片手には、お客さんから貰ったビール。 「歌の歌詞にあるじゃないですか? 出会うのが遅すぎたねと。って。 あれ違いますよ。逆です。出会うのが早過ぎたね、ですよ。」 そう、どこか寂しげに話すバーテンダー。 直樹27才。 お客さんは、その話にうなずく。 「けど、やっぱ十年付き合ってても別れる時って、呆気ない物なんだね…。」 お客さんも感慨深く、グラスの凍りを人差し指でグルグルと回した。 「んー、ま、原因は全部僕にあるんですけどね…。」 直樹は頭をかいて笑う。 どこか無理した笑顔。 十年間、何度も別れ話なんてあった。 しかし、その都度、どちらかがギブアップをして、モトサヤに収まっていた。 その度、やっぱ運命なんだな?って感じてた。 直樹は十年前を思い出した。
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