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「……いや、これは固まっているんだ。……巳栗、大丈夫か?」
「は………はい…」
(たぶん)大丈夫だろうと判断した眞狼は流亜の方に向き直った。
「ところで、どうして看板なんだ?昨日近くにいなかっただろ?」
「近くにいたわ。すぐ後ろにね」
流亜がクスクスと笑う。
眞狼は目を点にした。
「すぐ後ろに……
……………いたのか?」
「えぇ。……ふふふ」
「気がつかなかったぞ…」
「酷いわね。少し傷ついたわ」
物静かに言う流亜を見て、眞狼は目を点にしたまま首を傾げた。
「お前でも、傷つくんだ……」
……確かに。
「酷い言い方ね。あなたは私を何だと思っているのかしら?」
「血も涙もない悪党だと思ってた」
「あら…私だって傷つく時はあるわよ?」
「そ、そうか」
正直、この時の眞狼は
……有り得ない。
と思っていた。
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