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それは、いつもの見慣れた朝の風景だった。夫は無言で、新聞を読み、コーヒーを飲む。娘の香緒里は髪型が気にいらないらしく、朝から一言も口を聞かない。香緒里は、この春私立の女子高の2年になった。化粧は校則で禁止のはずだが、「みんなやってるし、先生だって、何も言わないよ!」と、私の言葉に耳を貸そうともしない。「じゃ、行って来る」「今夜も遅いんですか?」「…。」「あなた、たまには…」「俺は、遊びに行っているわけじゃないんだ、付き合いだってある、お前だってわかっているだろう」バタン、行ってきますも言わず出かけてしまった。
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