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「絢香、学校は?確か波田商に行ったんじゃなかったの?」「学校?カッタルイから辞めたよ!今は、歳ごまかして駅前のスナックでバイト中。」絢香は、バックから煙草を取り出すと、慣れた手つきで、火をつけた。「佐緒理はどうなのさ、高校生活っての、あたしには向かないね、辞めて正解。佐緒理は、頭いいからさ、ちゃんと続けなよ」ブッブー振り向くと、赤いスポーツカーから、絢香を呼ぶ声がした。「お待たせ」テレビでよく見る俳優の誰かに、似ている気もしたが、サングラスを外した目は、獲物を狙う狩人のように険しく、佐緒理には好きになれないタイプだった。「よかったら、送るよ、バスも行っちゃったみたいだし」「大丈夫だよ、次のでも間に合うから」佐緒理は、そう言うと足早に歩きだした。これ以上あの男の顔を見ていたくなかったからだ。「じゃ、またね」ちょうどバス停に、駅前行きのバスがやってきた。
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