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ダイニングテーブルの上には、食べ残しの、トーストとハムエッグ。「ふぅ!」薫は溜め息をつきながら、片付けを始めた。いつもの変わらない毎日、このまま歳をとって言ってしまうのか、自分の人生ってなんだったんだろう。夫の雅彦とは、社内恋愛で結婚した。翌年には、佐緒理が産まれ 二年後には、長男の和也が産まれた。幸せに満ち溢れている時間。薫は幸せを感じていたはずだった。どこかで、歯車が狂ってしまったのか、単調な日々に物足りなさを感じ始めたのか、薫の中で、何か得たいの知れない別の自分が、静かに牙を向きだしはじめていた。
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