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――黒い瞳の 白い兎
..恋するウサギ....
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〔クマの次は、ウサギ。〕
サイズがくまの次に小さいとか、ではない。
かといってくまの次に大きいとかでもない。
五十音でもなく、世界的になんの規則性もなく………いや、私の私情を挟めば世界的に規則性アリアリなのだが。
とにかく、クマの次はウサギ、なのである。
‐‐‐‐‐‐‐
――どうして私はここにいるのだろうか。
そんな疑問も、既に考えなくなった。
痛いとか、辛いとか。
麻痺したのか、涙がでない。
肌をさすような寒さも、何日かしたら何でもなくなった。
右腕の感触は、もうない。
誰が巻いてくれたかも分からない当時白かったであろう包帯は、今は泥と雨と血液で赤黒く、もしくは茶黒く変わっていた。
言葉の通じない異国の地。
なんの暖かみも感じない世界。
真っ暗で黒い視界。
たまに覗かせる顔は、同情と哀れみの眼をさらす。
見られても、不思議となにも感じなかった。
たまにやって来る若者は集団で殴る蹴るしたが、今になるとまだ生きてるのかと笑いながら観察するようになった。
私は見せ物じゃない。
不思議と何も感じなかった。
膝を抱えて頭を乗せる。
偏見のまなざしも既に慣れた。
空腹は不思議と感じなかった。
橋の隅に私はずっといて、その下の川はすごく汚かった。
排水口並ではないのか。
だが不思議とニオイは感じなかった。
喉は渇いた。
もつれる足で公園まで歩き、噴水で喉を潤した。
自分は、とてつもなく醜い。
それだけは分かった。
だが、死のうとは思わなかった。
死ぬ手段はいくらでもあった。
死にたければそこら辺に捨てられた瓶の破片に動脈を切り付ければいい。
捨てられた折れたナイフで心臓を一突きすればいい。
私は思わなかった。
死にたいと思ったが
死のうとは思わなかった。
生きようと思ったが
生きたいとは思わなかった。
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