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―――訳が分からない。
何故 私はここにいる。
闇雲に細い通路ばかり選んで進んだ。
やがて行き止まりが近付き、これ以上は進めないほど狭くなった。
相変わらず スッキリしない。
いつもなら
そんなものほうっておくのだが、今日はそんな気分になれなかった。
理解してみたかった。
だからだろうか。
時には 自分のカンに頼る。
それは必ずしも
裏か 表か。
大失敗か 大成功か。
答えは二つに一つ。
推理なしで動くと大抵、このどちらのイベントが起こる。
大勝負、と いうわけだ。
今回の大勝負。
きっと私の負けだ。
意味もなくこんなくだらない 常識外れな事をする自分。
それはそれで構わない。
いや、第六感と言うものは信じるべきだと思う。
…今回は
仇に出たというわけか。
さあさあと雨が降り注ぐ。
はっきり言えば寒い。
はっきりなど言わない。
抱き心地は
いいとは言えない。
いや、これは考えるべきではないか。
弥のいうとうりこれでは変態だ。
否定できなくなる事は極力避けたいものだ。
……………。
ワタリに 怒られるだろうか。
蹴りはないだろうが。
ふう、と 小さな溜め息一つ。
それは雨音と、自ら放つペタペタという濡れた足音でもみ消された。
たまに
捨て犬など 気分で拾うことがあった。
ワタリがしつけ、ホテル移動時に 誰かに預ける。
今回も
そうなるのだろうか。
…丁度車の前までたどり着いたLは、微かに目を見開くワタリに ガラス越しに(聞こえないだろうが)呟いた。
「すみません」
バタン、と運転席のドアが開き、ワタリが出て来る。
「…L。その方は…」
ワタリが視線を向けるそれは、今にも息途絶えそうな 少女であった。
Lは 軽々と抱き上げたまま、肩をすくめて見せた。
「…また 変なものを 拾って来てしまいました」
Lはしばらく気がつかないが、その時
もやもやした気持ちは
すでに消え去っていた。
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