第二話~十六夜の月夜~

20/30
前へ
/768ページ
次へ
普通の女が泣くのとは違って、表情は普通のまま涙が流れていた。 喚くこともなくただ静かに。 「その美しい紫色の瞳から零れ落ちる雫は、まだ止まらぬか・・・。」 その言葉に気付き栞は、右手で右の頬を触る。 「・・・私まだ・・・。」 知盛はそれを見て栞の涙を拭い口を開く。 「俺は、もう行かねばならない。邸で休んでくるといい。」 そして知盛は栞のそばを去っていった。 栞はその後涙を拭い、少し桜を見てから、邸へ戻った。
/768ページ

最初のコメントを投稿しよう!

211人が本棚に入れています
本棚に追加