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玄関に入ると、そこには、知盛と同じ顔だが、優しい顔をしている男の人が待っていた。
「姫君・・・よかった・・・。」
その男の人はとても安心したような顔をして、栞のそばに寄った。
ある程度さっき泣いて心が落ち着いたようで、男の人を見て言う。
「・・・私、知りたいことがあるんです。」
「なんなりと・・・。」
「まず、あなたは誰?」
「私は、平重衡と申します。」
「ここは・・・どこ?」
栞は平重衡と名乗る男の言葉を聞き逃さないように耳をすます。
「申し上げました通り今日の六波羅の平参議の邸でございます。」
「六波羅の平参議の邸・・・平家・・・。」
「姫君・・・。」
六波羅・・・平家・・・もしかして・・・ここは源平合戦が起こる前?
もし、重衡さんの父の名が清盛だったら・・・間違いないが・・・。
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