第二話~十六夜の月夜~

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玄関に入ると、そこには、知盛と同じ顔だが、優しい顔をしている男の人が待っていた。 「姫君・・・よかった・・・。」 その男の人はとても安心したような顔をして、栞のそばに寄った。 ある程度さっき泣いて心が落ち着いたようで、男の人を見て言う。 「・・・私、知りたいことがあるんです。」 「なんなりと・・・。」 「まず、あなたは誰?」 「私は、平重衡と申します。」 「ここは・・・どこ?」 栞は平重衡と名乗る男の言葉を聞き逃さないように耳をすます。 「申し上げました通り今日の六波羅の平参議の邸でございます。」 「六波羅の平参議の邸・・・平家・・・。」 「姫君・・・。」 六波羅・・・平家・・・もしかして・・・ここは源平合戦が起こる前? もし、重衡さんの父の名が清盛だったら・・・間違いないが・・・。
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