第二話~十六夜の月夜~

23/30
前へ
/768ページ
次へ
「・・・。そういえば、さっきなにか言おうとしていませんでしたか?」 「あぁ。別にそれは・・・。」 「私に言いたいことがあるのなら、はっきり言ってください。私、またここから消えてしまいそうな気がして・・・。」 「姫君・・・。」 「重衡・・・。」 重衡は少し考えて口を開く。 「・・・ささいなことでございますが、申し上げます。」 「はい。」 「私は、あなたをなんとお呼びしたらよいものか。」 「名前・・・ですか?」 「それは次の逢瀬で。ですから今のうちは。・・・この地に降り立たれたかぐやの君・・・桂の君・・・。」
/768ページ

最初のコメントを投稿しよう!

211人が本棚に入れています
本棚に追加