211人が本棚に入れています
本棚に追加
重衡は栞の呼び名を考えている間に、栞は桜の木のところで会った人が十六夜の姫君と私のことを呼んでいたことを思い出した。
その時、重衡も思いついたようで口を開く。
「いや。」
「十六夜・・・?」
重衡は自分の考えと同じことを言った栞の言葉に驚いた。
「えぇ。あなたのおっしゃる通りだ。あの雲に十六夜の月が隠れたかと思った時、あなたは光を身に纏ってここに現れた。」
「えっ・・・。」
「聞いてもよいですか?」
何を聞きたいのだろうかと栞は考えたが承諾をした。
「え、えぇ。」
「天井から逃れた、十六夜の月の姫君が、花をご覧にここへいらしたのですか?」
「えっ・・・。」
確かに、暗い闇の中に現れた花びらを追いかけたら、ここに来たのだけれど・・・。
「十六夜の姫君?」
最初のコメントを投稿しよう!