第二話~十六夜の月夜~

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重衡が栞に声をかけた時、ここに来る前に聞こえた鈴の音が栞に聞こえた。 「鈴の音・・・もしかして・・・また・・・。」 「どうかしたのですか?」 栞の表情が変わったことに気がついて重衡は少し不安になる。 「私が消える前に、言いたいことがあります。」 「なんでしょう。」 「この邸は、この先の未来、燃えてしまいます。」 「燃える?この六波羅がですか?」 「はい。」 「不穏なことを言う姫君ですね。」 「でしょうね。」 「平家の滅びを十六夜の姫君はご存知というわけですね。」 「・・・はい・・・。この桜も焼けてしまうでしょう。」 「・・・そうですか。今宵は不可思議な夜だ。平家の滅びを告げる神名ぎが、これほどに美しいお嬢さんだとは思いませんでした。」 栞は重衡がこの話を信じないだろうと思っていたが、重衡があっさりと受け入れたことに驚いた。
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