第二話~十六夜の月夜~

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自分の事なのに、自分のことではないようにあっさりと。 「疑わないのですか?」 「なにを?」 「私の言ったことです。」 「疑う理由などないでしょう。」 「えっ・・・どうして・・・私はあなたとそれほど関わっていないのに・・・。」 重衡があっさりと言い切ったことに栞は本当に驚いていた。 「花が咲いているように平家という花も散るときが来ます。この桜も今宵かぎりですか・・・。」 「今宵だけではないかもしれないですけど・・・。」 桜を見て重衡が言った言葉に弱々しく続ける。
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