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それと時を同じくして、知盛が部屋の中に入った。
「重衡?今の光は・・・?」
「兄上?」
「誰かと・・・話していたのか?」
「えぇ・・・。あの月と話しておりました。」
「月・・・あぁ。確かに綺麗だな。」
重衡が月を見て言うと知盛も月を見上げ口を開く。
でも、重衡はすぐに近くの桜に視線を移し、少し切なそうに口を開いた。
「十六夜の姫君は可愛らしく悲しい言の葉を紡ぐ方でした。次の逢瀬が待ち遠しいものです。」
「墨俣から戻る頃には藤の花も咲いているだろうからな。」
「残念ながらいつとは知れないのですよ。」
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