第二話~十六夜の月夜~

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それと時を同じくして、知盛が部屋の中に入った。 「重衡?今の光は・・・?」 「兄上?」 「誰かと・・・話していたのか?」 「えぇ・・・。あの月と話しておりました。」 「月・・・あぁ。確かに綺麗だな。」 重衡が月を見て言うと知盛も月を見上げ口を開く。 でも、重衡はすぐに近くの桜に視線を移し、少し切なそうに口を開いた。 「十六夜の姫君は可愛らしく悲しい言の葉を紡ぐ方でした。次の逢瀬が待ち遠しいものです。」 「墨俣から戻る頃には藤の花も咲いているだろうからな。」 「残念ながらいつとは知れないのですよ。」
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