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重衡の言葉にさっき桜の木の下に居た栞を知盛は思い出した。
「まさか・・・な。」
何て言ってふと笑って床を見るとそこには、栞が耳につけていた、イヤリングが落ちていることに気がついた。
そして拾いあげ、重衡も会っていたのかと思った。
そのイヤリングを掌にのせ、眺めながら言う。
「未来--どれほどの先に出会えるのか・・・。」
「兄上?」
「会えるだろう。また・・・未来で・・・。」
「十六夜の姫君・・・。」
「異空から来た美しい娘・・・か。」
「異空?」
「いや、なんでも・・・ない。」
「女性には興味がなかったのではありませんか?兄上。」
「今宵は特別・・・だ。」
「珍しいですね。」
「フッ、そうだな。」
栞は再び時空の狭間の闇の中へ戻って来てしまった。
そして、その闇の中で再び眠ってしまった。
十六夜の出来事は栞の行く時空から、先の未来に起こりうることをさしているのか・・・。
それとも、過去なのか・・・。
そしてこの夜はこの先の未来に大きく関わりを持っていた。
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