第二話~十六夜の月夜~

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重衡の言葉にさっき桜の木の下に居た栞を知盛は思い出した。 「まさか・・・な。」 何て言ってふと笑って床を見るとそこには、栞が耳につけていた、イヤリングが落ちていることに気がついた。 そして拾いあげ、重衡も会っていたのかと思った。 そのイヤリングを掌にのせ、眺めながら言う。 「未来--どれほどの先に出会えるのか・・・。」 「兄上?」 「会えるだろう。また・・・未来で・・・。」 「十六夜の姫君・・・。」 「異空から来た美しい娘・・・か。」 「異空?」 「いや、なんでも・・・ない。」 「女性には興味がなかったのではありませんか?兄上。」 「今宵は特別・・・だ。」 「珍しいですね。」 「フッ、そうだな。」 栞は再び時空の狭間の闇の中へ戻って来てしまった。 そして、その闇の中で再び眠ってしまった。 十六夜の出来事は栞の行く時空から、先の未来に起こりうることをさしているのか・・・。 それとも、過去なのか・・・。 そしてこの夜はこの先の未来に大きく関わりを持っていた。
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