第一話~時空越え~

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「雨・・・やまねぇな。」 俺は、寺の廊下に座っていた。 雨の降る黒い空を見上げていた。 頭に思い浮かべるのは、梦冬 栞(ムトウシオリ)の顔。 幼なじみのような奴で、なんか気にかかる奴。 心を、俺や弟の譲、幼なじみの望美以外には閉ざしていて、でも、人を拒絶するところはないのに、誰も近寄らない。 昔から、孤独が寄り添っている奴だった。 あいつ・・・今どうしているんだ・・・。 泣いて・・・ないよな。 前に一度、俺が七時ぐらいまで学校に残って帰りが遅かった日があった。 その日は雨で、この神社の前を通ったら、あいつが御神木の前で傘もささずに泣いていたことがあった。 好きな奴にフラれたわけでもなく・・・。 理由は、孤独に押し潰されそうだったって言っていた。 いつも一人で、誰にも必要とされなくて、どうして自分はここにいるんだろうって言っていた。 いつもは、そんなことも言わなかったから、この日ばかりはかなり驚いた。 それ以来雨の日は、またあいつが泣いていないか気になって、ここに来ていた。
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