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暫くは
他愛もない話をした
家出をした事
蓮の高校生時代の話
実家で飼ってる犬の話
何だか楽しくて
「よし、この辺りで良いんだよな?」
帰りたくない。
車が止まったのは
マンションの目の前にあるコンビニの駐車場
「…どうした?」
俺は別れ際が苦手だ
しかも、直ぐ顔に出てしまうから
「…圭吾、今日の予定は?」
彼に気を遣わせてしまった
でも、嬉しくて
「何もないよ」
愛想なく言う俺を見て
蓮も何故か嬉しそう
「じゃあ行こうか」
返答を言う前に
車は走り出す
「何処に行きたい?」
「…星が見たい」
俺の返答を聞いて
彼は喉奥を鳴らす
「圭吾って天然?其れとも…」
信号待ちで
車内が少し静かになる
彼の顔が近付いて
「夜まで一緒に居たいって事?」
楽しそうに、口角を上げている
「ち、違う…」
視線が、泳いでしまう
「可愛い…」
彼が相手だと、上手くいかない
いつもの、俺じゃない
俺が、俺じゃなくなるんだ
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