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「圭吾…いい加減にしてくれないか」
溜息を零す親父を
横目に一瞥する
「…悪かったよ、もうしません」
面倒なら投げ出せよ
縁を切りたいのなら早く言え
俺だって、うんざりだ
「お前は我が浅間家の顔に傷を付け…っおい圭吾!!話はまだ終わってない!」
大人の説教は矛盾してる
聞きたくなくて
ソファから立ち上がった俺がいけなかったのか
言葉で制止を掛けられた
広いリビングにもしっかり響く親父の声
俺は振り返り
血管が飛び出そうな男と向かい合う
そんなに俺がお荷物なら
負担を減らしてやるよ
「…今までお世話になりました。今後一切、浅間の名前を汚さないように俺は出て行きます」
深々と頭を下げ
ごちゃごちゃ言われたくなかったから
早々と親父の部屋を出た
ドアを閉める瞬間まで
背後で怒鳴り声が聞こえたけれど
「さて、荷物纏めねぇとな…」
別の事で思考はいっぱいで
耳障りな声も
部屋と共に遠くなる
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